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塚原 剛彦*; 佐賀 要*; 鈴木 英哉*; 松村 達郎
クリーンテクノロジー, 29(12), p.4 - 7, 2019/12
レアメタルは不可欠な資源として重要であり、安定した供給が課題となっている。そのため、リサイクル技術の開発が進められている。しかし、既存の方法はコストや廃棄物、火災爆発の危険性などの問題があり、飛躍的な展開は望めないことから、これまでの分離概念にとらわれない開発が求められている。温度応答性ポリマーポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PolyNIPAAm)と疎水性抽出剤を応用し、温度変化のみで水溶液中で金属錯体を内包したポリマーゲルの生成と再溶解を可逆的に制御が可能であることを見出し、これをレアメタルの分離回収へ適用することを検討した。この相転移現象を利用した水系抽出法は、有機溶媒や固体吸着材を一切用いず、煩雑な固液分離も行うことなく、適切な抽出剤を投入して38C程度に暖めるだけで、廃液中から金属イオンを直接回収することが可能である。本稿で紹介した希土類イオンのみならず、白金族元素やアクチノイド元素(ウラン, アメリシウム, キュリウム等)の分離回収にも成功している。抽出から逆抽出までの全工程が水系で完結し、繰り返し利用も可能であるため、環境負荷低減に資する新しい分離法として期待される。
斎藤 恭一*; 浅井 志保
分析化学, 66(11), p.771 - 782, 2017/11
被引用回数:1 パーセンタイル:3.39(Chemistry, Analytical)レアメタルは、高機能材料の原料として注目を集めているが、一般に、回収・精製が困難であることが多く、選択的かつ効率的に捕集できる材料が求められている。そこで、本研究では、高分子材料の改質法の一つである放射線グラフト重合法を適用して、レアメタルイオンを効率的に捕集する高分子吸着材を作製し、それらの実用性能を実証した。例えば、核酸塩基の一つであるアデニンを、ポリエチレン多孔性中空糸膜や6-ナイロン繊維に接ぎ木(グラフト)した高分子鎖に固定し、パラジウムやルテニウムのイオン種を特異的に捕捉する材料を作製した。また、希土類元素に選択性を有する抽出試薬であるリン酸ビス(2-エチルヘキシル)(略称: HDEHP)をポリエチレン多孔性シートにグラフトした高分子鎖に担持し、カラムに充填して、ネオジムとジスプロシウムの溶出クロマトグラフィーに適用した。HDEHP担持樹脂カラムに比べて、HDEHP担持繊維充填カラムは高速で分離できることを実証した。
玉田 正男
放射線化学(インターネット), (100), P. 16, 2015/10
放射線を駆使した研究開発とそのマネジメントに携わって、35年、捕集材による温泉水中のレアメタルの捕集は特にマスコミの注目を受け、数多くの新聞やNHKの「おはよう日本」などのテレビ報道で大きな反響を呼んだ。捕集実験は群馬県にある自然湧出量が日本一である草津温泉で行った。朝8時からの生放送では、6時から現地にスタンバイしたこともあった。また、モノマーを界面活性剤により水に安定に分散して行うエマルショングラフト重合の発案は、捕集材を作製するコストをいかに抑えるかという問題の解決に繋がり、半導体洗浄液中のppbレベルの金属除去フィルターやセシウム吸着材の技術移転の道を切り開くことができた。
長縄 弘親
no journal, ,
技術情報センターからの依頼に基づき、同社の企画するセミナーでの講演を行う。レアメタルの回収・リサイクル、廃液の浄化に関心のある企業に向けて、機構で開発された新技術"エマルションフロー法"について紹介する。エマルションフロー法の原理、他の技術との比較、適用例、コスト等での優位性、具体的な事例紹介などについて話をする。
長縄 弘親
no journal, ,
バックエンド研究開発部門からの依頼を受け、六ヶ所・核燃料サイクルセミナーにて発表する。放射性物質・金属に対する革新的な化学分離技術であるエマルションフロー法について、その原理と特徴、他の技術との比較、実用例、今後の展望等について紹介する。
長縄 弘親
no journal, ,
液液抽出(溶媒抽出)は、水溶液中の目的成分を水と混じり合わない有機溶媒に抽出する方法であり、金属精錬など、工業的によく利用される方法である。エマルションフロー抽出装置では、ノズルヘッドからマイクロメートルサイズの液滴を噴出させることで、水溶液と有機溶媒がよく混じり合った乳濁状態(エマルション)の流れを作り出すと同時に、抽出容器の中でエマルション流が通過する断面積を急激に変化させることで、速やかにエマルションを消滅させる。すなわち、エマルションフロー装置では、ポンプ送液のみで、水相と有機相がエマルションの状態にまで効率的に混合され、その後、完全に清浄な状態にまで迅速に2液相が分離する。このような原理から、エマルションフロー抽出装置は、従来の抽出装置(ミキサーセトラーなど)との比較において、最も低コストかつシンプルでありながら、最高レベルの性能を発揮することができる。